実家を処分できない理由とは?ボロ物件解決法

親の家、いわゆる実家を相続したものの、築50年以上のボロボロの家を前に途方に暮れていませんか?
ボロ物件を処分できないという悩みは多くの人が抱えています。しかし放置すると固定資産税や近隣トラブルのリスクが高まります。

この記事では、ボロ物件が処分できない理由と最新の解決策を専門的な視点からわかりやすく解説します。具体的な処分・活用の方法を紹介し、税負担や公的支援についても整理します。実家のボロ物件の悩みを解消するヒントが得られます。

目次

なぜボロ物件は処分できないのか?

ボロ物件が処分できない背景には、建物の老朽化や経済的価値の低さ、心理的な要因などさまざまな理由があります。
ここでは主な要因をひとつひとつ見ていきます。

老朽化して価格価値がゼロに近い

日本では木造住宅は築30~35年を超えると建物価値がゼロに近いとされます。
つまりボロ物件では建物部分にほとんど資産価値がなく、土地の価値だけで取引されてしまいます。
そのため実際に売りに出すと土地価格から解体費用を差し引いた低額でしか評価されず、買い手が集まりにくくなります。

再建築不可・立地条件で利用価値が低い

道路に接していない再建築不可物件では、新築を建て直すことができないため土地としての魅力が著しく劣ります。

また崖地や狭小地など建築制限のある土地では利用価値が低く、周辺地価より安く評価されます。こうした条件では新たな住まい手が見つからず、売りに出しても反応がないケースが多いです。

解体費用が売却価格より高額

周辺の土地価格よりも解体費用のほうが高い物件は、解体して更地にしても販売が難しくなります。
木造30坪程度の一軒家では解体費用は一般的に150~200万円ほどかかります。

土地価格がこれより低いと不動産業者は利益が出ず買い取りを避けるため、結果として売りに出しても買い手がほとんどつかなくなります。

共有名義で処分意見がまとまらない

相続で複数名義になっている実家の場合、共有者全員の同意を得て売却する必要があります。
一人が売却を希望しても他の共有者が拒めば処分は進みません。
また、相続人間で処分時期や価格の目標が合わないと協議が難航するケースもあります。

親族の愛着が売却をためらわせる

親が建てた家や家族の思い出が詰まった実家には、手放すことに抵抗を感じる人も少なくありません。
「両親が残してくれたものだから大切にしたい」「子ども世代が使うかもしれない」といった心理が働き、売却を後回しにする要因になります。
しかし維持費や税金の負担を考えると、冷静に判断することも重要です。

ボロ物件を放置すると生じるリスク

ボロ物件を処分せずに放置すると、自分自身にも地域にもさまざまなリスクが生じます。固定資産税の負担増加や近隣トラブルが発生し、行政による勧告や強制撤去の対象となる可能性もあります。
以下では具体的なリスクを見ていきます。

近隣トラブル・治安リスク

老朽化した空き家は破損しやすく、台風や地震で屋根材や外壁材が落下する危険性があります。
室内に害虫やゴミが溜まると悪臭・不衛生が発生し、近隣住民に迷惑をかけます。また、空き家に不法侵入者が住み着くと、放火や治安悪化のリスクが高まります。地域住民とのトラブルや事件の温床とならないよう、空き家の管理は重要です。

固定資産税・維持費の負担増

空き家は所有しているだけで固定資産税・都市計画税がかかります。住宅用地とみなされる場合は税の軽減がありますが、市区町村から「管理不全空家」に指定されると軽減措置が外れ課税額が跳ね上がる可能性があります。

管理不全空家への勧告を受けると土地の課税面積が増え、固定資産税が大幅に上がるケースもあります。売却せずに放置すると維持費負担が膨らむため、早めに対策することが望まれます。

行政からの勧告・強制撤去の可能性

倒壊の危険性があるなど、周囲に悪影響を与える空き家は「特定空家」に指定される恐れがあります。
特定空家に認定されると市町村から改善命令や撤去命令が下され、従わない場合は過料を科されることがあります。
最終的には行政代執行により強制撤去・解体され、その費用を所有者に請求されることもあります。

長期放置による資産価値の下落

空き家は放置期間が長いほど建物が劣化し、価値がさらに下がります。例えば屋根が傷むと雨漏りが進み、修繕費が増大します。
価値が下がると買い手が一層見つかりにくくなり、処分は困難になります。早めに対処することで無駄な負担を防ぎましょう。

実家のボロ物件を相続したときの悩み

実家を相続してボロ物件を抱える場合、相続特有の課題もあります。登記や税務手続きの複雑さ、親族間の意見の相違などが処分を難しくします。
ここでは相続関連で押さえておきたいポイントを解説します。

相続登記や共有名義の問題

実家を相続すると名義変更の相続登記が必要になります。名義を放置すると、いざ売却や賃貸に出す際に手続きが煩雑になります。

さらに、共有名義になっている場合は全員の同意がないと処分できません。遅滞なく登記し、共有持分の整理も専門家に相談しながら進めましょう。

遺産分割協議がまとまらない

遺産分割協議では、実家を含む財産の分配方法を相続人全員で話し合います。
しかし価値観の違いから協議が難航することがあります。例えば、一部の相続人は資産化を望む一方で他の相続人は実家を保持したいと考えることがあります。
協議がまとまらないと売却に進めないため、早めに意思疎通をし、互いに譲れる点を確認し合うことが大切です。

相続税・譲渡税の負担

実家を相続すると、土地・建物の評価額をもとに相続税が課税される場合があります。評価額が高くなると税負担も大きくなるため注意が必要です。
将来売却する際は譲渡所得税もかかりますが、一定要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(令和9年末まで適用)。
要件には被相続人の居住要件や建物の耐震基準などが含まれますので、該当すれば大きな税負担減が見込めます。

譲渡所得3,000万円特別控除:相続した実家を売却するとき、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円まで控除できます。要件例は、被相続人が居住していたこと、昭和56年5月31日以前の建築であること、耐震基準への適合や解体を売却後までに行うことなどです(適用期限:令和9年12月末)。

親の思い出による心理的迷い

実家には家族の思い出が詰まっており、売却に踏み切れない心理的ハードルがあります。

「子ども世代に家を残したい」「両親の思い出があるから手放しにくい」といった感情は自然ですが、そのまま放置しておくと負担が増すばかりです。感情と向き合いつつ、維持費や税金を考慮して決断することが必要です。

共有者間での価値観のズレ

相続人同士で実家に対する考え方が異なると、意思決定が難航します。
例えば、遠方在住の相続人が売却を望む一方、地元在住の相続人は住み続けたいと考えることがあります。
このような価値観の違いは協議を複雑にするため、事前に意見をすり合わせ、お互い譲れる部分と譲れない部分を整理しておきましょう。

ボロ物件の処分・売却方法

ボロ物件を処分するにはいくつかの方法があります。一般的な仲介売却以外にも、専門業者による買取、リフォーム売り、解体後の売却、隣地売却、国庫への寄付制度など、状況に応じて選択肢を検討できます。
以下で具体的な手法を紹介します。

不動産仲介で土地含め売却

一般の不動産会社を介して売却する方法です。
建物の一部がまだ使える場合や立地に需要があれば仲介でも買い手が見つかる可能性があります。ただしボロ物件では価格設定が重要です。
建物の価値をゼロと仮定し、土地価格から解体費用相当を差し引いた価格を目安に設定しないと、売却は難しくなります。

買取専門業者に直接売却

リフォームや解体をせず早く現金化したい場合は、買取専門会社に売却する手段があります。
買取は手続きが比較的簡単で仲介手数料が不要な点がメリットです。
家財を残して引き渡せる場合も多く、処分負担が少ないのが特徴です。ただし売却価格は仲介より安くなるのが一般的ですので、その点は理解しておきましょう。

リフォーム・リノベーション売り

ボロ物件の価値を上げるため、部分的に改修してから売却する方法です。
躯体がしっかりしている場合には内装や設備を補修・交換すれば需要が生まれることがあります。

近年は都市部や観光地近くの古民家がリノベーション物件として人気を集めています。ただし、改修費用をかけても販売価格への上乗せ分が見合うか検証する必要があります。不動産会社に相談し、費用対効果を確認してから進めましょう。

解体して更地にし土地売却

建物が使えないほど老朽化している場合、解体費用を自己負担して更地にしてから土地だけを売る方法があります。
更地にすれば住宅用地として販売できるため買い手がつきやすくなります。
また、建物がないと住宅用地の軽減税率が適用され、固定資産税が下がるメリットもあります。

解体費用の目安は建物の構造や延床面積で決まります。参考までに一般的な坪単価の例を以下に示します。

構造 坪単価
木造 約4~7万円/坪
鉄骨造 約6~9万円/坪
鉄筋コンクリート造 約8~11万円/坪

解体には費用がかかりますが、更地で販売すれば買い手が見つかりやすくなります。また建物がないと住宅用地の軽減税率が適用されるため、固定資産税を抑えられる点も大きなメリットです。

隣地住民に家屋付きで売却

隣接する土地の所有者にボロ物件ごと売却する方法もあります。
隣人は自分の土地を拡大する目的で物件を評価するため、通常の買い手とは異なる価値観を示す場合があります。
ただし、交渉中に「売却前に建物を解体して更地にしてほしい」という条件を求められることもあるため、事前に確認しておきましょう。

国庫帰属制度で土地を寄付

相続土地国庫帰属制度を利用して土地を国に譲渡する方法も最終手段として検討できます。
ボロ家がある場合は事前に解体して更地にしたうえで申し込む必要があります。また国に譲渡するには管理費相当分の負担金を納める必要があります。
売却ではありませんが、どうしても売れない物件を処分する最後の手段として覚えておきましょう。

売れないボロ物件を活用する方法

売却にこぎつけられない場合、ボロ物件を活用して収益化する方法もあります。賃貸や民泊、用途変更、地域団体への譲渡などを活用して負担を軽減できる可能性があります。
以下で具体的な活用法をご紹介します。

賃貸物件として貸し出す

築年数が経過していても賃貸需要があれば家賃収入を得られます。
家財を整理し、水回りや内装をクリーニングしてから貸し出しましょう。学生や単身者、高齢者などニーズに応じて賃料を設定すれば、空室を減らせます。
賃貸に出せば固定資産税や維持費負担を収入でカバーでき、物件を持ちながら収益化できます。

シェアハウスや民泊に改装する

立地によってはシェアハウスやゲストハウス、民泊施設などにリノベーションする活用法もあります。
観光地や都市近郊で需要があれば賃貸より高い収益が見込めます。複数の宿泊者を想定して部屋を整備し、宿泊業としての許可を取得しましょう。
初期投資や運営管理の手間はかかりますが、上手く稼働すれば賃貸以上のリターンを得られる可能性があります。

農地や駐車場など別用途に活用

土地の利用価値に着目し、畑や駐車場、トランクルーム用地などに活用する手もあります。
住宅地に隣接しない場所では貸し農地として農家に貸し出す例があります。

また住宅地なら駐車場にすると数年で初期費用が回収できるケースもあります。転用する際は用途地域や手続きを理解し、必要に応じて行政に相談してください。

NPO・地域団体に利活用を委ねる

地域のNPOや住民協議会には空き家活用を支援するプログラムがあります。
ボロ物件を譲渡または賃貸し、コミュニティスペースや子育て支援施設などに活用してもらえます。
所有者は管理責任を解除され、地域貢献につながる利点があります。ただし契約形態や管理条件をしっかり確認して進めることが必要です。

ボロ物件処分に役立つ相談先と公的サポート

ボロ物件の処分や活用には情報収集と専門家の助けが重要です。ここでは不動産業者や専門家、自治体窓口、公的支援など、利用できる相談先とサポート制度を紹介します。
適切な窓口を活用し、最適な解決策を探しましょう。

自治体の空き家相談窓口

各市区町村には空き家対策の相談窓口や空き家バンクがあります。
自治体のホームページで窓口情報やサポート内容を確認し、困ったことがあれば問い合わせてみましょう。
市町村によっては空き家の販売促進や解体費補助の案内、無料相談会の開催なども行っています。

不動産・法律の無料相談サービス

不動産会社が提供する無料査定や、相続に詳しい専門家による無料相談を活用しましょう。
不動産一括査定サイトを使えば複数社からボロ物件の査定額を得られます。

また税理士や司法書士に相談すれば相続・譲渡手続きのアドバイスが受けられます。オンライン相談も増えており、自宅から専門家に相談できる環境が整っています。

解体・改修補助金や税制優遇制度

老朽住宅の解体や耐震改修には補助金・助成金制度が利用できます。
国や自治体は空き家解体費用の補助や省エネ・耐震改修の支援を行っています。
たとえば多くの自治体で解体費用の一部を補助する制度がありますし、全国的に省エネ・耐震リフォームの補助も実施されています。
該当する場合はぜひ活用しましょう。税制面では前述の譲渡所得3,000万円控除のほか、居住用財産の3,000万円控除といった優遇もありますので確認しておいてください。

空き家解体補助金:多くの自治体では老朽家屋の解体費用の一部を補助する制度があります。補助額や対象要件は自治体ごとに異なりますので、市区町村のホームページや窓口で最新情報を確認しましょう。同様に耐震補強やリフォームに対する補助金制度も併せて活用できる場合があります。

不動産オンライン査定の活用

不動産一括査定サイトを活用すると、複数の会社からボロ物件の価格査定を受けられます。
査定結果を比較すれば、売却可能な価格帯の目安がわかり、売却戦略を立てる際の参考になります。
ただし一括査定の金額は概算です。正式な取引価格は現地での精査が必要なので、最終的な判断には慎重を期しましょう。

まとめ

ボロ物件が処分できない理由には、建物の老朽化による価値低下や解体費用の負担、接道義務など土地の制約、共有者間の合意形成の難しさなどが挙げられます。実家への思い入れも売却をためらわせる要因です。
しかし現在は空き家対策が充実しており、仲介売却や買取だけでなく賃貸・活用、補助金・税制優遇といった多彩な選択肢があります。

適切な対策を早めに検討し、専門家や自治体のサポートを上手に活用すれば、実家のボロ物件でも解決策が見えてきます。この記事で紹介した方法を参考に、具体的な一歩を踏み出してみてください。

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