マンション売却で消費税がかかる条件とは?知識ゼロから解説

マンションを売却する際、消費税がかかるのかどうか疑問に思う方も多いでしょう。消費税は身近な税金ですが、不動産売却時のルールは少し複雑です。
個人のマイホーム売却であれば消費税はかかりませんが、事業用マンションや法人による売却では建物部分に消費税が課される場合があります。

記事では消費税の課税対象・非課税対象、税率、計算方法などを詳しく説明します。

マンション売却で消費税はかかる?課税対象と非課税対象

消費税は商品やサービスの取引に課される税金ですが、不動産売却にも特定の条件で適用されます。
一般に、マンション売却では土地部分が非課税、建物部分に消費税が課される仕組みです。
例えば個人が居住用のマンションを売却する場合は消費税はかかりません。一方で、投資用・賃貸用マンションや法人が売主のマンション売却は建物に消費税がかかるケースに当たります。

消費税の課否は売主の事業者区分にも影響されます。
事業者が課税売上高2,000万円以上であれば課税事業者となり、建物部分の売却に10%(2025年現在)の消費税が課されます。
これに対し、課税事業者要件を満たさない免税事業者や個人のマイホーム売却は非課税になります。具体的な事例は次章以降で詳しく見ていきましょう。

売主・用途別の消費税取扱い

下表は売主の属性とマンションの用途別に、消費税の取り扱いをまとめたものです。

売主区分 マンション用途 消費税の取扱い
個人(居住用) 自宅・マイホーム 非課税
個人(賃貸用) 投資用・賃貸用 (原則)課税対象(建物部分のみ)
※免税事業者の場合は非課税
法人・不動産会社 新築・中古問わず 課税対象(建物部分のみ)

個人のマイホーム売却は非課税

個人が居住用のマンションを売却する場合は消費税の課税対象になりません。
消費税法では個人の生活用財産(マイホームなど)の譲渡を非課税取引と定めています。
そのため、自分が暮らしていたマンションを売った場合でも建物部分に対して消費税はかからず、譲渡所得税などのみが課されます。
これが「マイホーム売却は消費税なし」と言われる理由です。

賃貸用・投資用マンション売却は課税対象

個人でも賃貸収入を得ていた投資用マンションを売却する場合、原則として建物部分に消費税がかかります。
投資用マンションは事業用資産とみなされるため消費税の課税対象です。ただし、売主が免税事業者であれば消費税は免除されます。
年間の課税売上高が基準に満たなければ個人も免税事業者になります。例えば前々年の売上高が1,000万円以下の個人事業主は免税事業者となるため、実質的に消費税を支払う必要はありません。

課税事業者・免税事業者の違い

消費税は事業としての取引にかかる税金なので、売主が課税事業者か否かが重要です。
個人・法人問わず、課税売上高が一定以上になると課税事業者となり、消費税の申告・納税義務が生じます。一方、その基準以下なら免税事業者となり、消費税は免除されます。
例えば個人事業主であれば前々年の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者です。家賃収入なども含めてその基準未満なら、マンション売却時に消費税を計算する必要はありません。

個人所有マンション売却で消費税はかかる?

個人が所有するマンションを売却する場合も、居住用か賃貸用かで消費税の有無が分かれます。
居住用(一戸建て含む)のマンションは非課税です。別荘などのセカンドハウスも同様に、個人が生活のために使用していれば非課税扱いになります。
一方、個人が投資用や事業用に所有しているマンションを売却する場合は、売主が課税事業者であれば建物部分に消費税がかかります。以下にケース別で見ていきます。

マイホームとセカンドハウスの場合

個人が居住用に保有していたマンションは消費税の対象外です。マイホームだけでなく、郊外や職場近くにあるセカンドハウス(別荘的住居)も非課税です。
税法では「一定の条件(例えば週に1日以上居住に使っていることなど)を満たす住居」は生活用財産とみなされます。この条件を満たす別荘的マンションであれば、消費税の課税対象にはならないのです。

個人が投資用マンションを売却する場合

個人が賃貸用マンションを所有し、売却するときは通常、課税取引となり消費税がかかります。
ただし売主の個人が免税事業者の場合は消費税を納める必要はありません。前章までに説明したように、個人事業主であれば前々年の課税売上高が一定以下であれば免税事業者です。

個人事業主が売主の場合

個人事業主(自営業者)が事業としてマンションを売却する場合も課税取引です。
例えば自営業者が所有していた投資用マンションを売るケースでは、事業用資産の譲渡とみなされ、課税事業者であれば建物部分に10%の消費税が上乗せされます。

法人・事業用マンションの売却で消費税はかかる?

法人や個人事業主が売主となる場合は、事業としての取引であれば原則消費税がかかります。
不動産会社や建設会社が供給する新築・中古マンションの売却では、建物部分に消費税が含まれています。売買契約書にも消費税が別途明記されることが一般的です。

たとえ築年数の経ったマンションであっても、売主が法人であれば建物部分の売買代金に10%の消費税が課されます。
ただし、法人においても年間の課税売上高が基準以下であれば免税事業者となり、消費税を納める必要はありません。
事業規模の小さい不動産会社などでは免税事業者のケースもあるため、売却前に確認しましょう。

法人(会社)が売主のケース

不動産会社など法人が売主の場合、区分所有マンションの売却には消費税がかかります。
建物部分の譲渡は課税対象とされるため、売却代金には税込価格が設定され、消費税分を含めて支払います。土地部分は非課税ですが、契約書では土地と建物の価格を分けた上で計算します。

個人事業主が売主のケース

個人事業主が事業用マンションを売却する場合も課税対象です。
地域の不動産賃貸を行う個人事業主が投資用マンションを売るケースでは、事業用資産の譲渡とみなされます。課税事業者であれば建物部分に10%の消費税が上乗せされます。

法人・個人事業主における簡易課税の活用

法人・個人事業主とも、課税売上高が一定額以下(2025年現在の基準は5,000万円)であれば簡易課税制度を選択できます。
簡易課税では業種ごとに決められた「みなし仕入率」で消費税を計算します。たとえば不動産業の場合、課税売上の90%をみなし仕入と見なし、差し引いて納税額を求めます。
マンション売却で実際の仕入れが少ない場合でも簡易課税を利用すれば、本来より少ない納税額で済む場合があります。

土地と建物の区分による消費税計算

マンションの売却では土地と建物の譲渡を区別します。
消費税法では土地の譲渡は非課税とされているため、土地部分には消費税がかかりません。一方、建物部分は課税対象です。

土地売却は非課税

物件価格には土地分と建物分がありますが、土地の売買には消費税は課されません。
そのため、売却価格全体から土地分を除いた建物分にのみ消費税率10%を掛けて計算します。

建物売却の消費税

建物部分の価格をいくらとするかで消費税額が変わります。
通常、土地と建物の価格比率は公共の評価や市場相場から判断します。マンションでは土地と建物が半々程度になることも多く、契約時に価格を按分して消費税額を算出します。

売却価格の土地・建物按分例

例えば売却価格5,000万円のマンションで、土地を3,000万円・建物を2,000万円と按分したケースを考えます。
土地分3,000万円には消費税はかかりませんが、建物分2,000万円には10%が課税されます。この場合、消費税額は2,000万円×0.1=200万円となります。

マンション売却に伴う諸費用と消費税

マンション売却では退去費用、仲介手数料、登記費用など様々な費用が発生します。これらのうち消費税がかかるものとかからないものがあります。
特に仲介手数料は不動産会社のサービス提供にあたるため消費税の課税対象です。売却時は手数料の税込額を確認しましょう。

仲介手数料に含まれる消費税

不動産仲介会社に支払う仲介手数料には消費税が上乗せされます。
手数料は一般的に税抜約3%+6万円(税込)で計算され、この税抜金額に消費税10%が加わります。例えば税抜156万円の手数料なら、税込みでは171.6万円となります(156万円×1.1=171.6万円)。

リフォーム費用やその他サービスの消費税

売却前に行うリフォームやハウスクリーニングなどもサービス提供とみなされ、消費税がかかります。
業者への支払いには消費税が含まれるため、見積もり額に税率分が上乗せされます。
一方、売却に伴う登記費用(登録免許税)や印紙税は消費税の対象外です。

消費税の計算方法と納付タイミング

消費税は売却額(建物部分)に税率をかけて算出します。
例えば建物分の税抜価格が2,000万円であれば、消費税額は2,000万円×0.1=200万円となります。売却契約時に税込価格を設定するか、後日確定申告で申告・納付します。

簡易課税制度の活用

消費税には「簡易課税制度」があり、課税売上高が一定以下(2025年現在、基準は5,000万円)であれば利用できます。
簡易課税では業種ごとのみなし仕入率(不動産業は90%)を適用し、消費税を簡便に計算します。
マンション売却で仕入れが少ない場合でも簡易課税を利用すれば納税額を少なくできます。

消費税申告・納付のタイミング

消費税は確定申告時にまとめて納付します。個人事業主は確定申告書に含めて提出し、法人は決算後に消費税申告書を提出します。
課税事業者の場合、マンション売却で生じた消費税はその事業年度の消費税申告で報告します。納付期限は申告期限(通常は確定申告期限または決算終了後2ヶ月以内)です。

まとめ

マンション売却時の消費税は売主の属性やマンションの用途、土地と建物の区分で取り扱いが変わります。
個人の自宅マンション売却は非課税ですが、賃貸用・投資用マンションや法人が売主の場合は建物部分に消費税がかかります。土地部分は消費税の対象外である点、仲介手数料やリフォーム費用には別途消費税が上乗せされる点にも注意しましょう。

消費税は課税事業者・免税事業者の区分によって納付の要否が変わるため、自身がどちらに該当するかを確認してください。わからない点があれば、税理士や不動産会社の専門家に相談しながら、安心して売却準備を進めましょう。

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