マンション売却の場面で、最近『専属専任媒介契約』が新常識となりつつあります。売却を1社の不動産業者に一任すると、専属の担当営業が積極的に販売活動を行ううえ、法令で報告義務やレインズ登録が定められているため安心感が高まります。
本記事では2025年最新の法改正情報も踏まえて、専属専任媒介契約の基礎知識とメリット・デメリットを解説します。
目次
マンション売却における専属専任媒介契約とは?
マンションを売却する際、売主は不動産会社に売却活動を依頼します。このとき結ぶ契約が「媒介契約」です。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類がありますが、これらの中で『専属専任媒介契約』は最も制約の厳しい契約形態となります。
専属専任媒介契約では、売主が物件の販売を1社に一任します。他社への依頼はできず、たとえ売主自身が買主を見つけても、その不動産会社を介してしか売却できません。このため、不動産会社は独占案件として専用の販売施策(広告出稿や内覧会の実施など)を行いやすくなりますが、“自己発見取引”は認められません。
つまり、売主が自力で買主を探してきても、必ず仲介会社を経由して成約しなければならず、その際は通常の仲介手数料を支払う必要があります。
媒介契約とは何か
媒介契約は、売主が不動産会社に仲介を依頼するための契約です。売却の各工程をスムーズに進めるために必要で、売主と不動産会社の双方に役割が定められます。契約を結ぶことで、不動産会社は物件情報の周知、購入希望者の発見、交渉・書類手続きなどの業務を正式に開始できます。媒介契約を結ばずに営業活動を行うことは原則できないため、売却においては最初に結ぶ大切なステップとなります。
媒介契約の種類と違い
媒介契約には大きく「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。一般媒介契約では複数の不動産会社に同時に依頼でき、売主自身が直接買主を見つけることも可能です。報告義務やレインズ登録義務はありません。一方、専任媒介契約では依頼できるのは1社のみですが、売主が買主を直接見つける「自己発見取引」は認められます。専任媒介契約では契約後7日以内に物件をレインズに登録し、2週間に1回以上の頻度で売主に進捗報告する義務があります。専属専任媒介契約はさらに縛りが厳しく、自己発見取引が不可で、レインズ登録は契約後5日以内、報告義務は1週間に1回以上と定められています。
また、専任・専属専任媒介は契約期間が法律で最長3ヶ月以内と決まっており、自動更新はなく売主の申出がないと更新できません。
専属専任媒介契約の特徴
専属専任媒介契約の主な特徴は、売却活動を1社に完全に委任する点です。不動産会社は仲介手数料の確実な取得を見込めるため、広告宣伝に力を入れ、大規模な販売活動を行いやすくなります。また、契約時に物件情報をレインズに登録する義務があるため、全国の不動産会社に物件が周知される効果が期待できます。一方で売主には、「自分で物件を売る自由」がほとんどありません。自己発見取引を行ってしまうと、仲介手数料相当額を請求されるルールです。このようにメリットと制約の両面があるのが専属専任媒介契約の特徴です。
マンション売却における専属専任媒介契約と他の媒介契約の違い
専属専任媒介契約 vs 専任媒介契約
専属専任媒介契約と専任媒介契約は、どちらも1社に依頼する点が共通しています。しかし専任媒介契約では売主が直接買主を見つけて取引できるのに対し、専属専任媒介契約ではこれが禁止されています。また、専任媒介の場合は登録・報告に余裕があり、締結から7日以内のレインズ登録、2週間に1回以上の報告義務であるのに対し、専属専任では5日以内の登録、1週間に1回以上の報告義務が課せられます。これらの違いにより、専属専任媒介ではより強力なサポートが期待できる反面、売主の自由度は低くなります。
専属専任媒介契約 vs 一般媒介契約
一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼でき、自己発見取引も可能です。そのため売主自身で買主を探せる自由度がありますが、不動産会社にはレインズ登録や報告の義務がないため、売却活動の透明性は低くなる傾向があります。これに対し、専属専任媒介契約では前述のように登録・報告義務があるため、物件情報の露出度が高まり売却スピードが期待できます。結局、一般媒介は売主主体の手法で透明性より自由度重視、専属専任媒介は不動産会社主体の手法でサポート重視という違いがあります。
媒介契約3形態の比較
| 項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 契約できる業者数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社可 |
| 自己発見取引 | 不可 | 可能 | 可能 |
| レインズ登録 | 契約後5日以内 | 契約後7日以内 | 義務なし |
| 報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | なし |
| 契約期間 | 3ヶ月以内(更新は売主のみ) | 3ヶ月以内(更新は売主のみ) | 制限なし |
マンション売却に専属専任媒介契約を選ぶメリット・デメリット
専属専任媒介契約のメリット
- 販売活動が1社に集中するため、担当者は仲介手数料獲得を見込んで意欲的な営業を行います。広告出稿や内覧会開催など積極的な販売施策が期待できます。
- レインズへの登録義務や定期報告義務により、売却活動の透明性が確保され売主が販売状況を把握しやすくなります。
- 窓口が一本化されることで、連絡や交渉がスムーズになり、売主の手間が減る点もメリットです。
専属専任媒介契約のデメリット
- 売主が自分で買主を見つけても直接契約できないため、自由度が低下します。
- 販売活動を任せる不動産会社・担当者の力量に左右されるため、相性や会社選びが重要になります。
- 売却が完了しないまま契約期間満了になると、更新の手続きが必要です。(契約期間は法律で3ヶ月以内と決まっています。)
- 万一、囲い込みなど悪質な販売方法に遭遇すると売主が不利益を被る可能性があります。こうしたリスクを理解しておく必要があります。
マンション売却で専属専任媒介契約を結ぶ際の注意点
専属専任媒介契約の契約期間と更新
専属専任媒介契約の契約期間は法律で最長3ヶ月と定められており、自動更新はありません。契約更新する場合は、売主自身が不動産会社に申出をして更新を承認してもらう必要があります。契約期間終了後も売却が完了していない場合は、再度契約を締結するか他の方法を検討する必要がある点に注意しましょう。
レインズ登録・報告義務
専属専任媒介契約では、不動産会社が契約締結から5日以内に物件情報をレインズに登録する義務があります。また、売主に対しては1週間に1回以上、進捗状況を報告しなければなりません。これらは法律で義務付けられた内容で、登録・報告の遅れがあると業法違反となるおそれがあります。一方で、これらの義務があることで売却情報の公開範囲が広がり、売主は定期的に状況を確認できる安心感が得られます。
自己発見取引の制限
専属専任媒介契約を結ぶと、売主自身が買主を見つけた場合でも、その物件は不動産会社を介してしか売却できません。たとえば、家族や知人に売りたいというケースでも、仲介会社の手を通さずに直接契約することはできません。自己発見取引が行われた場合、仲介会社は委託者に仲介手数料相当額を請求できるため、売主は契約内容を十分理解したうえで売却計画を立てる必要があります。
囲い込み防止の法改正
2025年以降、不動産取引状況の透明化を目的とした法改正が行われ、いわゆる「囲い込み」への対策が強化されました。現在は、専属または専任契約で売り出した物件について、不動産業者はレインズのステータス管理機能に登録する義務があります。売主は専用画面で自分の物件が「公開中」「申込みあり」などどの段階にあるかを確認できるようになりました。登録しない、あるいは虚偽登録すると行政処分の対象になるため、囲い込みの心配は以前より軽減されています。
仲介会社選びのポイント
専属専任媒介契約を選ぶ際は、依頼する不動産会社や担当者選びが非常に重要です。販売力の高い会社か、豊富なネットワークと広告プランを持っているかを事前に確認しましょう。複数社の査定を受けて比較検討し、売却戦略やサポート内容(ホームステージングやクリーニングなど)も含めて話を聞いておくことが大切です。信頼できる担当者をよく選ぶことで、専属専任媒介契約のメリットを最大限に活かすことができます。
まとめ
マンション売却において専属専任媒介契約を選ぶと、担当営業が1社に絞られるため集中的な営業活動と、法律によるレインズ登録・報告義務で売却活動の透明性が確保されるメリットがあります。一方で、自己発見取引ができないなど自由度の低下や、選んだ会社の力量に左右されるデメリットも伴います。2025年からはレインズでの取引ステータス登録が義務化され、囲い込み防止も進展しています。
専属専任媒介契約を結ぶ際は、契約期間・報告義務・仲介手数料など契約条件をよく確認し、不動産会社の営業力や担当者との相性を見極めた上で判断することが重要です。売主の状況や物件の特徴を踏まえ、専属専任媒介契約のメリットを活用しましょう。