田舎にある土地を売却しようとすると、都市部に比べ需要が低いのではないかと不安に感じる方も少なくありません。
本記事では2025年最新情報をもとに、田舎の土地をスムーズに売却するポイントと注意点を詳しく解説します。
適正価格の設定や地域ニーズの把握、税制面の優遇措置など、着実に売却へつなげるコツを紹介します。
空き家バンクの活用や移住ブームの追い風を取り入れ、田舎土地売却を成功に導きましょう。
また、土地売却には時間がかかる場合もあるため、余裕を持った計画も重要です。
目次
田舎の土地を売りたい方のための基礎知識
田舎の土地は都市部の宅地とは異なる特徴があります。農地や山林は用途や法律が異なるため、まずは土地の種類を把握しましょう。
農地は農地法の規制を受け、原則として農家にしか売却できません。農業以外の用途に転用して売りたい場合は、農業委員会への許可申請が必要です。山林も森林法の規制対象になることがあるため、大面積の場合は注意が必要です。
一方、一般宅地化された土地は比較的自由に売却できますが、売却前に市町村に相談して適用制度を確認しておくと安心です。これらの法律面の基礎を押さえておきましょう。
自治体が運営する空き家・空き地バンク制度は、田舎土地売却時に役立つ制度です。空き家バンクに土地を登録すると、地方移住希望者や地域企業へ情報が発信され、マッチングの機会が広がります。登録は自治体窓口で手続きでき、費用がかからない場合が多いです。
また、相続で土地を取得した場合は、登記の確認も重要です。所有権移転登記や相続税の申告が必要なケースがあるため、法務局や税務署で手続き状況をチェックしましょう。固定資産税評価額は土地用途に応じて決まり、農地は宅地より評価が低く抑えられていますが、用途変更を行うと税額が大きく変わる場合もあるので注意が必要です。
田舎の土地は売れる?需要と売却の実情
田舎の土地は売れにくいイメージがありますが、ニーズが全くないわけではありません。近年は地方移住を目指す人や二拠点居住を希望する層が増えており、田舎で住宅を構えたい、別荘用地を探しているという需要が生まれています。特に在宅勤務の普及で都会生活から地方生活に切り替えるケースが注目されています。
同時に、観光農園や直売所用地など地域ビジネス用の需要も考えられます。地域の産物を活用する小規模事業者や、地方進出を目指す企業が土地を探す場合も増えています。売却活動ではこれら移住者や事業者を想定し、用途に合ったアプローチをすることで買い手が見つかりやすくなります。
過去の土地取引事例を見ると、売り出し価格と成約価格にはズレが出る傾向があります。一般的に土地売却では買い手の値下げ交渉が入るため、成約価格は売り出し価格の8~9割程度になる場合が多いです。つまり、相場の価格をリサーチした上で、若干低めに売り出すと交渉で売却を成立させやすくなります。事前に近隣事例を確認して、実際にどの程度で取引されているかを把握しておきましょう。
田舎の土地を売却する前に確認・準備すること
売却前には土地の境界を確認し、測量を行っておくことをおすすめします。古い田畑では境界標が不明確なケースが多く、埋め立てや合筆の後に境界が曖昧になっていることがあります。測量して境界を明示しておくと、購入時のトラブルを防げますし、契約進行もスムーズになります。買い手に安心感を与えるためにも、できるだけ正確な土地面積と境界を示しましょう。
土地上に古い家屋や資材などが残っている場合は、解体や処分を検討します。建物が劣化していたり物が散乱していると買い手が敬遠しやすくなります。特に居住用の古家が朽ち果てていると、購入者は解体費用の負担を嫌います。できれば事前に解体して更地にしたり、不要物を片づけておくと、販売を有利に進められます。
土地売買では必要書類の準備も欠かせません。所有権移転登記簿謄本や固定資産評価証明書は契約時に必須です。相続で土地を取得した場合は遺産分割協議書や相続登記が済んでいるか確認し、遅れている場合は早めに手続きしましょう。また、土地に抵当権や地上権の設定があれば、買主に説明し、抵当権抹消など必要な手続きを行う必要があります。必要書類が整っていると、取引はスムーズに進みます。
さらに、地元の不動産会社に相談しておくことも大切です。地域の土地売買に詳しい業者ならニーズや土地の特性を理解しており、効果的な売却戦略を提案してくれます。複数の業者に一般媒介契約で依頼すれば、広い範囲で買い手を探してもらえます。信頼できる会社を選び、早めに相談して販売準備を進めましょう。
田舎の土地の適正価格と査定方法
土地の適正な売出し価格を設定するには、周辺地域の相場を調査することが不可欠です。まずは市区町村やオンラインで公開されている固定資産税評価額や公示価格、過去の成約事例を確認しましょう。同じような面積・用途の土地がどのくらいの金額で取引されたかを把握し、自分の土地の特性を加味して価格を検討します。田舎世帯では人気度が低めのため、周辺相場より少し低めに設定すると売れやすくなります。
国土交通省の不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)など、政府機関のサイトも活用しましょう。実際の成約価格や売出し価格が公開されているため、地域ごとの相場感をつかむのに役立ちます。また、不動産会社に複数社無料査定を依頼し、査定額を比較することもおすすめです。査定結果の根拠を確認し、信頼できる業者の見積もりを参考に価格を決めると安心です。
売出し価格を決定する際は、高過ぎないように注意しましょう。売出し価格が交渉余地なく高額だと買い手が付きにくくなり、売却期間が長引く可能性があります。目安として相場より少し低めに設定し、交渉で成約価格が決まる場合を想定しておくとよいです。価格設定の最後は地元業者と相談し、無理のない数字に調整してください。
田舎の土地をスムーズに売るためのコツ
土地を他の所有者に案内する前に、隣地所有者や近隣住民に売却の意向を伝えてみましょう。隣に家があり敷地が手狭な方は、自分の土地を広げるチャンスだと喜ぶことがあります。隣接地が買い手になり得るため、挨拶がてら売却予定を相談すると意外な買い手が見つかりやすくなります。
先述の空き家・空き地バンクへの登録も大いに活用すべきです。自治体が運営する情報サイトに土地を掲載することで、多くの移住希望者や企業の目に留まります。登録手続きは自治体の担当課で無料または低額で済む場合が多いため、売り出しと並行して行うことをおすすめします。これら地域特有の販路を広げる方法を使うことで、購入希望者の裾野が広がります。
売却を依頼する不動産会社は、複数の会社に一般媒介で依頼する方法も検討しましょう。一社だけでなく複数社に並行して依頼すると、それぞれの顧客網を活用でき、成約機会を増やせます。依頼先を選ぶ際は、田舎土地の売却実績があるか、積極的に広告してくれるかを確認すると良いでしょう。
また、売却スケジュールには余裕を持つことも重要です。田舎の土地は買い手が現れにくいため、契約成立までに時間がかかることがあります。一般的に土地の場合、買い手が付くまでに3か月以上かかることも珍しくありません。最初の価格で急いで売れない場合も想定し、長期的な視点で計画を立てましょう。焦らず段階を踏めば、最終的に良い条件で売却しやすくなります。
売却方法の比較
| 売却方法 | 特徴 | 向く状況 |
|---|---|---|
| 仲介 | 不動産会社が買い手を探し、価格交渉も代行してくれる | 高値での売却を目指す場合、時間に余裕があるとき |
| 自分売却 | 仲介手数料が不要だが、宣伝や契約手続きは自力で行う必要がある | 費用を抑えたいが、自ら活動できる時間と知識がある場合 |
| 不動産買取 | 業者が直接土地を買い取り、契約完了が早い(価格は相場より低め) | すぐに現金化したい場合、価格よりもスピード優先の場合 |
田舎の土地が売れない場合の対処法
長期間売れない場合は売出し価格の見直しを検討しましょう。近隣の売り出し物件や取引事例を再度確認し、価格が適正かどうか判断します。買い手から値下げ交渉があった場合は、あらかじめどの程度なら応じられるかの落としどころを決めておくと良いでしょう。柔軟に対応して交渉を進めれば、合意に至る可能性が高まります。
また土地の別の活用方法も選択肢に入れます。例えば遊休地を駐車場や資材置き場として貸し出すことで、売買を待つ間の収益を得られます。農地なら地元農家に貸して耕作してもらう方法もあります。こうした方法で土地を有効活用しつつ買い手を募ることで、所有コストを抑えられるメリットがあります。
それでも売れない場合は、土地の譲渡や寄付を検討しましょう。自治体による公有地買い取り制度(公有地拡大推進法)を利用できる場合があります。公共施設や福祉施設用地として土地を必要とするケースもあり、譲渡・寄付という形で引き取ってもらえる可能性があります。買い手が見つからないまま放置するより、自治体の窓口に相談して活用策を探してみると安心です。
土地売却にかかる費用・税金のポイント
土地売却には印紙税や司法書士報酬などの諸費用が発生します。売買契約書に必要な印紙税は売買金額に応じて数千円~数万円が目安です。所有権移転登記時には登録免許税がかかり、通常は固定資産税評価額の0.3%(2026年3月末まで軽減税率)です。司法書士に依頼する場合はその報酬も必要となります。これら費用も売却予算の一部と考えましょう。
2024年の法改正により、土地の売買価格が低い場合でも仲介手数料上限が引き上げられました。売買金額が400万円以下でも18万円まで仲介手数料を支払えるようになり、低価格帯の土地でも業者が協力しやすくなっています。なお400万円超では従来通り「売買価格×3%+6万円」が上限です。
譲渡所得税(所得税・住民税)も重要です。譲渡所得は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」で計算されます。取得費が不明な相続土地などでは、売却価格の5%で取得費を概算するため、税負担が大きくなる場合があります。居住用以外の土地には3,000万円特別控除が適用されないこと、所有期間が5年超で長期譲渡所得扱い(税率20.315%)となることなどを理解しておきましょう。長期保有により税率を下げるか、取得費用を明確にするのが節税のポイントです。
まとめ
以上、田舎の土地を売却する際のポイントを解説しました。需要は都市部ほど高くないものの、移住希望者や事業ニーズなどを狙い適切な販売戦略を立てれば売却は十分可能です。売却前には土地の状態確認と書類準備を念入りに行い、相場を参考にした価格設定と地元業者の活用で買い手を探しましょう。
また、空き家バンクや隣地所有者への打診など多角的に販路を広げることが成功のカギです。税金面では長期保有による節税や特例の活用も検討し、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
これらのポイントを押さえ、田舎の土地売却を成功に導きましょう。