自分の家やマンションの今の価値が気になることはありませんか?
不動産の価値を把握しておくことで、売却や相続、資産形成の際に大きな損失を防ぎ、安心して計画を立てられます。
この記事では無料でできる調査方法から専門家の査定まで、2025年の最新情報を踏まえた
「正しい」不動産価値の調べ方を詳しく解説します。専門知識がなくても自分で価値を調べる方法を紹介します。
不動産価値の調べ方:基本とポイント
不動産価値とは、土地と建物を合わせた資産価値のことを指します。不動産の価値は「実勢価格」(市場での取引価格)や「公示地価」「路線価」「固定資産税評価額」など複数の指標で評価されます。調べ方の基本として、まずはこれら評価指標の違いと自分の目的を理解しておきましょう。
一般に土地の価格は時間が経っても大きく減少しにくい一方、建物の価値は築年数が経つほど下がります。戸建てでは土地の割合が大きく、マンションでは建物と管理状況が重視されるなど、土地・建物の割合も考慮する必要があります。
不動産価値とは何か
不動産価値は、その物件が市場でどれだけの価格で売買できるかの目安になります。具体的には、土地そのものの価格と、建物の価値を合計して求めます。実際の市場では需要と供給で価格が決まるため、「実勢価格」と呼ばれる取引価格が最も重視されます。
しかし実勢価格は目に見える形で得るのが難しいことが多いため、公示地価や路線価、固定資産税評価額など、国や自治体が定める評価額も参考にします。これらは必ずしも実際の市場価格と一致しませんが、目安として補助的に活用できます。
不動産価値を調べる目的
不動産価値を調べる主な目的としては、以下のようなものがあります。不動産は高額な資産であるため、将来売却する場合や相続・贈与の場面で価値を知っておくことは非常に重要です。
- 売却を検討しており、適切な売り出し価格を知りたい
- 相続や贈与の際に、税金の目安を確認したい
- 離婚などで財産分与に際し、適正な資産配分を決めたい
- 住宅ローンの借り換えやリフォーム資金計画などに役立てたい
- 購入検討中の物件の相場感をつかんでおきたい
土地と建物、マンションの違い
一戸建て住宅とマンションでは、不動産価値を構成する要素の比率が異なります。一戸建ての場合、土地の価値が高い割合を占め、建物は築年数の経過とともに価値が下がっていきます。例えば築30年超の木造住宅では建物の価値がほとんどなくなり、土地の価値だけで評価されることも珍しくありません。
一方、マンションの場合は土地の持分が小さく、建物部分の価値も重要です。管理組合や大規模修繕の状況、開発業者のブランドなどもマンション価値に影響します。調査・査定の際には、これら特性の違いを念頭に置きましょう。
不動産価値を決める評価指標
不動産の価値を客観的に知るためには、いくつかの基本的な評価指標を理解しておく必要があります。代表的な指標は以下のとおりです。各指標には用途や算出方法が異なる特徴がありますので、目的に応じて比較することが大切です。
実勢価格(市場価格)
実勢価格とは、市場で実際に取引された価格を指します。不動産のリアルな価値を知る上で最も重要な指標といえますが、取引の都度変動し時期やエリアによって大きく上下します。実勢価格を直接把握するためには、土地総合情報システムやレインズマーケットなどで似たような条件の物件の成約事例を調べる方法があります。これにより、最新の相場感をつかむことができます。
公示地価と基準地価
公示地価は国土交通省が毎年1月1日時点の土地価格を評価し公表するもので、標準値となる土地価格指標です。基準地価は都道府県が公示地価と同時期に算定し公表する地価です。これらの公示価格は専門の不動産鑑定士の評価に基づいており、市場価格の目安として利用できますが、必ずしも実勢価格と同じ水準ではありません。一般的に分かりやすい指標として参考にされます。
路線価
路線価は国税庁が毎年7月1日時点で公表する道路に面する標準宅地の価格(㎡あたり)です。相続税や贈与税の評価基準となる「相続税路線価」と、固定資産税の計算に用いる「固定資産税路線価」の2種類があります。
一般に、路線価は公示地価のおよそ80%程度とされるため、路線価から土地の大まかな市場価格を推測することが可能です。ただし、主要な市街地に設定されるため、地方の土地では路線価が設定されていない場合もあります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は市区町村が固定資産税・都市計画税の算定のために評価した価格で、おおむね公示地価の70%ほどとされています。毎年1月1日時点の所有者に通知される固定資産税納税通知書に評価額が記載されており、これを見るだけで土地の評価額が分かります。固定資産税評価額をもとに実勢価格の目安を計算することも可能です。
鑑定評価額
鑑定評価額は宅地建物取引士ではなく国家資格の不動産鑑定士が個別不動産について専門的手法で評価して算出する価格です。物件の所在地や形状、利用状況、周辺環境など多くの要素を考慮し評価されるため、公的な裁判や企業の資産評価、担保評価などに使われます。
ただし、依頼には一般的に20万~30万円程度かかるため、通常の売却目的では無料の不動産会社査定などを先に検討することが多いです。
無料でできる不動産価値の調べ方
自分で手軽に不動産価値を調べるための方法はいくつかあります。これらは費用をかけずに行えるものが多く、まずは自分で相場感をつかんでみましょう。以下では特に代表的な調査手段を紹介します。
不動産ポータルサイトで相場を把握
住宅情報サイト(ポータルサイト)では、同じエリアにある類似物件の売り出し価格が検索できます。SUUMOやHOME’S、アットホームなどのサイトを利用して、物件の面積や間取り、駅距離などの条件を絞り込み、現在いくらで売りに出されているかを調べましょう。
複数のサイトで同じような条件の物件を見比べると、相場のおおよそのレンジを把握できます。ただし売り出し価格はやや高めに設定されることが多いため、その点は留意が必要です。
一括査定サイトで速く査定依頼
不動産会社が多数参加する一括査定サイトでは、物件情報を入力するだけで複数の業者から査定額を提示してもらえます。机上査定(オンライン査定)は問い合わせ後すぐに概算額が得られるため、自分の物件の価値感をつかむのに便利です。大手・地域密着問わず複数の会社に査定を頼んで結果を比較すると、より適正な相場が見えてきます。
ただし査定依頼をすると不動産会社から営業連絡が来る場合もあるので、利用する際は複数社を同時に依頼し冷静に対応しましょう。
土地総合情報システムを活用する
国土交通省が運営する「土地総合情報システム」では、土地や一戸建て、マンションなどの過去の不動産取引価格を確認できます。このサイトは実際に成約した取引価格情報をもとにしており、住所(都道府県・市区町村)や築年数・面積といった条件で検索できます。特に農地や林地の価格情報も取り扱っており、これらの相場を調べる際には非常に役立ちます。検索結果には取引価格や面積、取引時期、最寄駅からの距離などが表示されるため、近隣の取引事例を参考におおよその価値をつかみましょう。
固定資産税納税通知書・評価証明書で確認
毎年送付される固定資産税納税通知書には土地や家屋の固定資産税評価額が記載されています。これを確認すれば、土地の評価額を知ることができます。
万一納税通知書を紛失してしまった場合でも、市区町村役所で「固定資産評価証明書」を取得すれば同様に評価額を入手できます。固定資産税評価額は実際の取引価格より低めに設定されていますが、公示価格と比較・換算することで、土地の実勢価格を推測する指標となります。
路線価・公示地価で目安をつかむ
国税庁が公表する「路線価」は道路に面した土地の単価(1㎡あたり)で、相続税評価の基準とされます。固定資産税用路線価もありますが、一般に路線価は公示地価の約80%程度です。国税庁のサイトや毎年発表される評価倍率表を利用して、対象地の路線価を調べ、土地の評価額をざっくり計算できます。
また、先述の国交省の土地総合情報システムで公示地価・基準地価の情報も確認できるので、これらを併用するとより正確な価格目安がわかります。
専門家に依頼する方法
より正確な評価が必要な場合は、専門家による査定依頼が有効です。いずれも費用はかかりますが、物件の詳細なプラス要素や市場動向を加味して適正価格を算出してもらえます。
不動産会社による査定(机上査定と訪問査定)
不動産会社に査定を依頼すると、物件の状態や周辺環境を踏まえた価格を提示してもらえます。査定には、物件データをもとに簡易的に計算する「机上査定」と、担当者が現地を訪れてより細かく査定する「訪問査定」があります。机上査定は手軽ですが訪問査定の方が精度は高いため、本格的に売却を検討する際は訪問査定も依頼しましょう。
査定は通常どの会社でも無料で受け付けています。複数社に依頼して査定額や説明内容を比較検討し、信頼できる会社を選択することが高く売るコツです。
不動産鑑定士による評価
高額物件や特殊な土地・建物、公的手続きの必要がある場合などには、不動産鑑定士に依頼する方法があります。不動産鑑定士は国家資格者であり、専門的な手法で不動産の経済的価値を評価します。鑑定評価は高い信頼性がありますが、依頼には通常20万~50万円ほどの費用がかかるため、一般の売却ではまず利用されません。一般的な売却では、不動産会社の無料査定で市場動向を把握し、複数社の査定額を参考に価格設定を行うのが現実的です。
まとめ
不動産価値を正しく調べるには、複数の視点から情報を集めることが重要です。まずは不動産ポータルサイトや土地総合情報システムなどを活用し、近隣の相場や実際の取引価格を確認してみましょう。固定資産税評価額や路線価、公示地価といった公的指標も併せて見れば、大まかな価格帯を把握できます。
さらに、より正確な評価が必要ならば不動産会社や鑑定士に査定を依頼しましょう。複数の専門家の意見を比較することで客観的な価格判断が可能になります。こうしたステップを踏むことで、2025年現在の適正な不動産価値を自信を持って把握できるでしょう。