マンション売却では居住中のまま内覧を行うか、それとも先に引越した方がいいか悩む方が多いでしょう。
実際、売却物件の約6割は売主が居住中で、そのまま売却活動をするケースが大半です。一方で、生活感があると購入希望者にマイナスイメージを与え、空室物件より売れにくくなる懸念もあります。
居住中マンションの内覧では、事前の準備と当日の対応が成功のカギを握ります。
本記事では、居住中内覧のメリット・デメリットや内覧前の掃除・整理整頓、当日のポイントをわかりやすく解説し、損をしないためのコツをご紹介します。
目次
マンション居住中の内覧で損しないポイント
居住中のマンションを内覧に対応する際は、清潔感や広さの演出、丁寧な対応など、内覧者に好印象を与えるポイントを押さえることが重要です。
これらを徹底すれば、生活感のマイナス要素を抑えながら魅力的に見せることができ、結果として高値売却にもつなげやすくなります。
清潔感を演出する掃除と整理整頓
まず、第一印象を左右するのは室内の清潔感です。不要な物が散乱していれば部屋は狭く見えますし、汚れやほこりがあると購入者はマイナスポイントを感じてしまいます。
売却期間中は最低限の生活用品だけを残し、それ以外の小物や不要な家具・雑誌などは事前に片付けましょう。また、定期的に掃除機をかけ、水回りや窓なども丁寧に拭き上げると、清潔感を保ちやすくなります。
空間を広く見せる演出
室内を広く見せる工夫も大切です。家具は必要最低限に抑え、配置を工夫して通路を確保しておくと、動線がスムーズに見えて部屋全体が広く感じられます。
窓はすべて開放して光を十分に取り込み、蛍光灯やシーリングライトの電球も切らさないようにして明るい印象を演出しましょう。また、鏡や白いカーテンなども光を反射・拡散して部屋を広く見せる効果があります。
内覧者への丁寧な対応
内覧当日は売主自身が対応することが多いため、丁寧な対応が求められます。清潔な服装・身だしなみでお迎えし、笑顔で挨拶をしてリラックスした雰囲気を作りましょう。
内覧者が質問したいことがあればきちんと説明し、居住中の正直な体験談も交えて話すと信頼感が高まります。逆に、契約や交渉に関する話題は不動産会社を通じて後ほど対応するなど、場の雰囲気に配慮した応対を心がけましょう。
居住中マンション内覧のメリット・デメリット
居住中でマンションを売却・内覧する場合、他にはないメリットもあれば、注意すべきデメリットもあります。
ここでは、実際に住みながら内覧する利点と留意点を整理し、損をしない判断材料としましょう。
居住中売却のメリット
- 売却が決まるまで引越しの必要がないため、物件が売れるまでは現在の住まいに住み続けることができます。
- 実際に暮らしている様子を見せることで、家具配置や生活イメージを購入希望者に具体的に伝えられます。
- 購入希望者から内装や設備について質問があれば、その場ですぐに答えて不明点を解消できるのもメリットです。
居住中売却のデメリット
- 売主・仲介・購入希望者の三者間で内覧日程を調整する必要があるため、スケジュール管理が煩雑になります。
- 生活感があると購入希望者によってはマイナス印象となり、
内覧をためらわせる要因になる場合があります。 - 日々の生活を続けながら内覧準備(掃除や荷物整理)を行うのには、
どうしても手間と時間がかかります。
居住中物件と空室物件の比較
| 項目 | 居住中 | 空室 |
|---|---|---|
| 生活感 | 実際の暮らしの様子が分かる | 生活の跡がなく中立的に見られる |
| 引越しの自由度 | 買い手が決まるまで現在住み続けられる | 売却前に引越しを済ませる必要がある |
| 印象 | 温かみがあるが生活臭に注意 | スッキリしており修繕点が分かりやすい |
| 交渉 | 売主自身が直接説明できる | 基本的に不動産会社を介して行う |
居住中マンションの内覧準備と注意点
内覧前には、物件全体の印象を上げるための準備が必要です。
ここでは具体的な整理整頓や掃除のポイントをまとめました。
不要物の整理でスペースを確保
リビングや各部屋には不要な物をなるべく置かないようにしましょう。雑誌、書類、ごみ箱などは片付けるか隠して、広いスペースを確保します。
靴や傘は下駄箱に整理し、玄関周りに余計なものが散らばっていないか確認します。押し入れやクローゼットも整理し、内部まできれいに見せると収納力のアピールにつながります。
清掃で清潔感を演出
キッチンや浴室・トイレなどの水回りは特にチェックされやすい部分です。
油汚れや水垢、カビがないか入念に掃除しましょう。床や壁もホコリや汚れがたまりやすいので拭き掃除をしておきます。照明器具にもホコリが溜まりやすいため、拭き取っておくと見栄えが良く清潔感が高まります。
照明・換気で明るい空間を作る
部屋を明るくすることで、さらに開放感を演出できます。内覧当日はカーテンを全開にして自然光をたっぷり取り入れ、照明もすべて点灯しておきましょう。
蛍光灯やLEDの色味を統一すると統一感が出て、部屋全体がすっきり見えます。エアコンや換気扇で空気を入れ替え、こもった臭いがないようにしておくのも忘れずに。
個人情報の保護と小物の整理
写真や郵便物などの個人情報は必ず片付けておき、プライバシーに関わるもの(パソコン・日記など)は見えない場所に隠しておきましょう。
不要な小物や飾り棚も目立たないよう整理し、生活感を必要以上に出さないようにしておけば、内覧者に安心感を与えることができます。
内覧当日の具体的な対応とポイント
内覧当日は、売主自身が物件の顔となります。来訪客が疑問を持たないよう丁寧に案内し、好印象を与えることが大切です。
以下のポイントを意識して対応すれば、スムーズな内覧につながります。
丁寧な挨拶と印象作り
内覧者には笑顔で迎え、入室時は靴をそろえるなど礼儀正しい姿勢を示しましょう。
内覧者が物件に集中できるよう、挨拶や簡単な自己紹介は手短に済ませるのがポイントです。あまり長話をせず、リラックスした雰囲気を心がけましょう。
見学者のプライバシー配慮
同意なく部屋の私物を触ったり、勝手にドアを開けたりしないよう注意します。収納内部やパソコン画面など個人情報が含まれるものは、内覧者から尋ねられてから見せるようにしましょう。
また、内覧終了時には礼儀正しく見送り、最後まで丁寧な対応を心がけます。
価格交渉は担当者を通じて
価格交渉などのお金の話題は、直接内覧中に持ち出さないようにしましょう。突然の値下げ交渉は内覧者との信頼感を損ねかねません。
こうした話題は後日、仲介担当者を通じて改めて相談するようにします。
内覧後のフォローと交渉のコツ
内覧後の対応も売却成功には重要です。購入希望者からの問い合わせには迅速に対応し、疑問や要望に柔軟に応えていくことが大切です。
以下では、交渉を進める上で心に留めたいポイントを紹介します。
内覧申し込み後の迅速な対応
内覧後に購入希望者から連絡があったら、速やかに対応するようにしましょう。あらかじめ必要書類(管理規約やパンフレットなど)を用意し、内覧時に説明した内容を復習しておけば信頼感が増します。
内覧希望者が増えているときは、再内覧や追加質問にも柔軟に対応できるよう日程を調整してください。
交渉時の注意点
価格交渉では、事前に近隣の取引事例や相場を把握し、売り出し価格に自信を持ちましょう。買い手の要望が出た場合も、「●●万円なら検討します」といった明確な回答をするため、事前に譲れる点・譲れない点を整理しておくと安心です。
交渉中は感情的にならず、担当者を通じて冷静に進めることが大切です。
まとめ
居住中マンションの内覧は、準備次第で有利に進められる点が多くあります。掃除・整理整頓、明るい空間作り、丁寧な案内など基本を押さえ、生活感をコントロールしましょう。
居住中ならではの日程調整の面倒さはありますが、迅速な対応や信頼できる仲介者の協力で乗り切ることができます。今回紹介したポイントを参考に、居住中でも内覧で損せずスムーズな売却を実現してください。