つなぎ融資を使ったマンション売却のメリット徹底解説

マンションの住み替えやリフォームに伴い、売却と購入のタイミングが合わず、手持ち資金でまかなえない初期費用が発生することがあります。そんなとき役立つのが「つなぎ融資」です。つなぎ融資は住宅ローン実行前に必要となる資金を一時的に借り入れる制度で、これにより資金繰りに余裕が生まれます。

本記事では、マンション売却時につなぎ融資を活用したときのメリットや注意点、利用手順を2025年最新情報を交えて詳しく解説します。

マンション売却におけるつなぎ融資とは?

マンションを売却して新居を購入する住み替えでは、売却代金が手元に入るまでに時間差が生じることがあります。特に新居の手付金など事前費用や、住宅ローンの実行が引き渡し直前であるため、それまでに諸費用を用意しなければなりません。

つなぎ融資とは、この期間の資金不足を補うための短期融資です。融資対象は売却予定のマンションで、売却代金が入金されると同時に借入金をまとめて返済します。住宅ローン実行前に必要な資金をつなぐ(橋渡しする)ことから「つなぎ融資」と呼ばれています。その金利は一般的に2~4%程度と比較的高めに設定される場合が多く、返済期間は数ヶ月から最長1年ほどと短期です。

つなぎ融資の基本的な仕組み

つなぎ融資は金融機関から一時的に借り入れ、販売代金受領後に全額返済する仕組みです。不動産はあくまで返済原資とみなされるため、新たに抵当権を設定する必要は基本的にありません。借入中は利息のみを支払い、売却が完了すれば残りの元本を売却代金で清算します。融資期間内に売却できない場合は、金融機関によっては延滞損害金(年率14%程度)や強制競売による売却といったペナルティが発生する可能性がありますので、あらかじめ期間の目安や条件を確認しておきましょう。

住宅ローン実行前の費用を賄う資金調達手段

新居の購入では住宅ローン実行までに手付金や登記費用、仲介手数料などの諸費用が必要になります。通常、住宅ローンの融資実行は引き渡し時点となるため、これらの費用は自力で前もって準備しなければなりません。つなぎ融資を利用すれば、住宅ローンが実行される前までの頭金・印紙税・仲介手数料などを一時的に補うことができます。結果として、新居購入資金を確保しながら、売却活動にも余裕を持って取り組めるようになります。

住み替え(買い先行)の場合

マンションの買い替えでは、先に新居を購入する「買い先行」のケースでつなぎ融資が威力を発揮します。例えば、Aさんが5,000万円の自宅を売却して6,000万円のマンションを買い替える場合、費用が不足しがちです。このときAさんは、売却代金が入る前に新居の手付金や諸費用を支払わなければなりません。つなぎ融資を利用すれば、不足分の資金を売却予定物件を担保に一時的に借り、売却完了後にまとめて返済できるため、希望条件の物件を逃さず住み替えを進められます。

住宅ローンが遅れて引き渡しが先行する場合

売り先行でマンションを売却し、新居の購入契約と引き渡しが完了する場合でも、住宅ローンの融資実行がギリギリになることがあります。申し込みや審査の時間が長引くと、実際の返済が予定日までに間に合わないリスクがあります。このようなケースでもつなぎ融資は役立ちます。融資実行が間に合わず手付金などの支払いが必要なとき、つなぎ融資で資金を賄うことで、住宅ローンの融資完了を待っている間も購入手続きをスムーズに進めることができます。

相続税の納税資金にする場合

相続財産としてマンションを受け取った場合、相続税の納税期限が来る前にまとまった現金が必要です。手元資金でまかなえない場合、つなぎ融資を利用して納税資金を調達し、後日マンションを売却して返済に充てるケースがあります。つなぎ融資を利用すれば、売却前でも相続税の納付を遅滞なく行うことが可能になり、不動産の売却代金でまとめて返済できます。

つなぎ融資のメリット

つなぎ融資を利用することで得られる代表的なメリットは以下の点です。

好条件物件の買い逃しを防ぐ

つなぎ融資があれば、新居購入のタイミングを売却代金の入金後まで待つ必要がありません。人気物件はすぐに買い手がつくことも多く、売却資金だけで購入しようとすると間に合わない場合があります。あらかじめつなぎ融資で資金を確保しておくことで、好条件の物件が見つかったときに確実に手付金を支払えるため、購入チャンスを逃さなくなります。

売却活動に余裕が生まれる

つなぎ融資を利用すると、売却資金の入金時期に関わらず資金繰りに余裕ができるため、マンション売却活動に集中できます。急いで売り急ぐ必要がなくなるので、じっくり時間をかけてより高値で買い手を探すことができます。結果的に、適正価格での売却がしやすくなり、つなぎ融資による借り入れ額以上の利益を得られる可能性も高まります。

仮住まい費用などの負担を軽減できる

つなぎ融資を活用して新居を先に購入すれば、売却までの間にかかる仮住まいの賃貸費用や引っ越し費用を節約できます。通常、売却が完了するまで住み替え先の物件が確保できない場合、仮住まいとして賃貸を利用するケースがありますが、つなぎ融資で資金的余裕があれば、自宅から新居へダイレクトに引っ越せるため余分な費用がかかりません。これにより資金的負担を大幅に軽減することができます。

つなぎ融資のデメリット・注意点

つなぎ融資には便利な一方で、利用にあたっては以下のようなデメリットや注意点もあります。

高い金利と各種手数料の負担

つなぎ融資は短期間の融資とはいえ、金利は一般的に2~4%程度と住宅ローンより高めに設定されています。また、多くの金融機関で借入時に事務手数料(数万円~10万円程度)が必要になります。さらに、仮に借入期間が長引くと、金利負担も増大します。これらのコストを総合的に考えると、つなぎ融資の利用には相応の費用負担が生じる点を理解しておく必要があります。

融資期間内に売却できないリスク

つなぎ融資は融資期間が明確に定められるため、通常は数ヶ月~1年以内に売却し返済する必要があります。もし決められた期間内に買主が見つからなかった場合には、返済期日を迎えても資金が不足するリスクがあります。その場合、融資期間を延長(要再審査・追加コスト)するか、最悪は早期売却を余儀なくされる可能性があります。売却には相応の時間がかかることもあるため、期間内での売却見通しを見極めておくことが重要です。

返済遅延時の競売・延滞損害金リスク

万が一、つなぎ融資の返済が遅れると、担保として想定されているマンションに抵当権が設定され、強制的に物件が競売にかけられる可能性があります。競売で売却される場合、一般的に査定価格の8~9割程度で手放さなければならないこともあり、元本に不足が生じるリスクがあります。また遅延損害金は年間14%程度に設定されることが多く、当初予定していなかった高い金利負担が発生する恐れがあります。つなぎ融資を利用する際は、返済期限に間に合わなかった場合のリスクを十分に認識しておく必要があります。

金融機関の取り扱いが限定される

つなぎ融資を取り扱う金融機関は多くありません。一般的な住宅ローンが利用できるメガバンクやネット銀行の中でも、つなぎ融資を提供するのはごく一部です。地方銀行や信用金庫、住宅金融支援機構のような公的機関、ローン専門会社などを窓口にするケースもありますが、全ての金融機関で契約できるわけではありません。そのため、つなぎ融資を検討する際は、あらかじめ複数の金融機関に相談し、利用条件や手数料を比較検討することが大切です。

つなぎ融資の申し込み方法と手続き

つなぎ融資は通常、住宅ローンを申し込む金融機関で同時に申し込むこともできます。以下では、利用可能な金融機関の種類や手続きの流れ、必要書類などを説明します。

利用できる金融機関の種類

つなぎ融資を扱っているのは主に住宅ローンを提供する銀行や信用金庫、ネット銀行などです。一般の不動産担保ローンと違い、一時的資金を想定した専用プランを用意している金融機関は限られています。中には住宅ローン契約が条件となる場合もあります。具体的には、大手銀行(例:みずほ銀行、三井住友銀行等)の一部支店や、住み替え向けにサービスを行う信金・信組、ローン専門会社などが用意しています。事前に問い合わせて対応可否を確認するとよいでしょう。

申し込みから融資実行までの流れ

まずつなぎ融資を希望する旨を金融機関に申し出ます。一般的には物件の情報(売却予定マンションの所在地や価格見込み)や申込者の収入状況が審査対象となります。金融機関の審査が通れば借入金額と期間を決定して本契約に進みます。場合によっては新居購入契約と同時に同意書の提出を求められることがあります。融資実行は新居購入時の必要資金払い出しと同時期となるケースが多く、契約締結後はすみやかに資金が借り入れられます。あとは売却契約の成立時に融資金を一括返済する流れです。

必要書類と審査のポイント

つなぎ融資の申込では、一般的な住宅ローンと同様に本人確認書類や収入証明書、物件関連書類が必要です。具体例としては、住民票の写し、運転免許証などの本人確認書類、源泉徴収票や確定申告書(直近分)などの収入証明、不動産登記事項証明書、マンションの間取り図・図面、売買契約書(媒介契約書)が挙げられます。また、売却価格の根拠となる査定書や不動産会社との契約書類も審査の際に求められます。金融機関によっては担保として想定される不動産の詳細を厳しく審査しますので、事前に必要書類を確認し、正確に提出することがポイントです。

つなぎ融資と他の資金調達方法の違い

つなぎ融資は短期間の資金繰りを目的とした特別な融資商品であり、長期資金を対象とする住宅ローンや不動産担保ローンとは性質が異なります。以下の比較表で主な違いをまとめました。

項目 つなぎ融資 不動産担保ローン 住宅ローン
目的 売却代金受取までの短期資金調達 長期資金調達(運転資金など) 住宅購入資金
金利 概ね2~4% 概ね1~9% 概ね0.5~1.5%
融資期間 数ヶ月~1年程度 最長30年程度 最長35年程度
担保 原則不要(売却予定物件を想定) 必要(借入者の不動産に抵当権設定) 必要(購入物件に抵当権設定)
返済方法 売却代金で一括返済 元利均等返済など 元利均等返済など

上記の通り、つなぎ融資はあくまでも短期的なつなぎ資金であり、高金利・短期間・一括返済が特徴です。一方、不動産担保ローンや住宅ローンは返済負担を軽減するため長期で低金利となっています。資金使途や返済計画に応じて、最適な融資商品を選ぶことが重要です。

まとめ

マンション売却時に利用するつなぎ融資は、売却代金が入るまでのつなぎ資金を確保できる便利な制度です。新居購入に必要な資金を前もって準備できるため、好条件の物件を逃しにくく、売却活動にも余裕が生まれます。

一方で、金利や手数料の負担や融資期間の制限に注意が必要です。特に返済期限を超過すると高い延滞金や競売のリスクがあるため、無理のない返済計画を立てることが大切です。複数の金融機関を比較し、つなぎ融資のメリットとデメリットを十分理解した上で活用すれば、マンションの売却と住み替えを安全かつスムーズに進めることができるでしょう。

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