相続や転勤などで実家が空き家になり、早く売りたいと考える方は増えています。空き家には固定資産税や管理費の負担が大きいうえ、倒壊や不法侵入などのリスクも心配です。
早期売却には適切な価格設定や準備、宣伝が欠かせません。
本記事では、2025年最新情報をもとに空き家を早く売却するためのポイントを徹底解説します。価格設定のコツや仲介・買取の違い、販促方法、税金や手続きの注意点まで幅広く紹介するので、空き家売却を成功に導く参考にしてください。
目次
空き家を早く売りたいなら必ず押さえるべきポイント
空き家を長期間所有していると、固定資産税や維持管理費がかさむうえ、建物が老朽化して売りにくくなる可能性があります。さらに近年では、倒壊の危険や不法侵入などのリスクも増加しており、空き家への評価が厳しくなっています。
こうしたリスクを避け、負担を減らすためにも、空き家をできるだけ早く売却することが重要です。当記事では、そのために押さえておくべきポイントを順を追って解説します。
空き家放置のリスクとコスト
空き家の放置には大きなリスクがあります。まず固定資産税です。通常、住宅用地の税率は軽減されており1/6に減額されていますが、2023年の法改正で「管理不全空き家」に指定されるとこの特例が解除され、税額が最大6倍になる可能性があります。
また、空き家は換気不足や防犯対策の不備で老朽化・劣化が進みやすく、倒壊や雨漏りの危険性が高まります。不法侵入や放火といった犯罪のターゲットになりやすい点も見逃せません。これらの問題は時間とともに深刻化するため、早期売却を検討する理由のひとつです。
空き家を売却するメリット
空き家を売却するメリットは多々あります。まず、固定資産税や管理費といったコストから解放されます。家屋や土地を所有し続ける限り毎年税金が発生しますが、売却すれば負担は消えます。
また、売却によってまとまった現金を得ることができ、老後資金や新生活の準備費用などに充てることができます。さらに、空き家に伴う倒壊・放火・近隣トラブルなどのリスクを回避できる点も大きなメリットです。
- 固定資産税や管理費などの負担がなくなる
- まとまった現金を手にできる
- 倒壊・放火・近隣トラブルなどのリスクを回避できる
- 条件によっては税制上の優遇措置が受けられる
売却前の準備と必要書類
空き家を売却する前には、必要書類や情報の整理も欠かせません。まず相続した場合は「相続登記」を済ませ、所有権を明確にしておきます。以下の資料を準備しましょう。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)や登記済証・登記識別情報
- 固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書
- 建物図面・間取り図、耐震診断書など建物の資料
- 相続関係を示す戸籍謄本、遺言書など権利関係の書類
これらの情報は査定時や売買契約時に必要となる重要な資料です。書類が不足していると売却手続きが遅れる原因になりますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
価格設定とリフォーム: 価値を高めつつ早く売るコツ
空き家を少しでも早く売るためには、適切な価格設定と物件の魅力向上がポイントです。価格を高くしすぎても売れ残る可能性があるため、相場をしっかり把握して適正価格を設定する必要があります。
また、空き家では時間とともに劣化が進むため、最低限のリフォームやクリーニングで印象を良くすることも大切です。ここでは価格設定の方法と、効果的な改善策について詳しく解説します。
プロ査定と相場調査で適正価格を設定
まず、空き家がどれくらいの価値を持つのか、相場をしっかり把握しましょう。不動産一括査定サービスや不動産会社の無料査定を利用すれば、複数の査定結果を得られます。
また、SUUMOやATHOMEなどのポータルサイトで近隣の類似物件の価格を調べることも有効です。プロの査定結果や周辺相場をもとに、適正な売出価格の目安を見つけましょう。
- 査定会社を複数利用して査定価格を比較する
- 類似物件の売出し価格や成約事例をリサーチする
- 実績のある不動産会社に依頼し、詳しい市場分析を受ける
売却価格の決め方と交渉のポイント
価格設定は売却スピードに直結します。一般的に相場より高く設定すると問い合わせが減って売れにくくなります。急いで売りたい場合は、地域相場よりやや低めに設定して買い手を引きつける戦略が有効です。
交渉では、希望価格からスタートしつつ、買い手からの値下げ要望には柔軟に対応しましょう。成約を優先して値引きも検討し、売れ残りによる更なる値下げのリスクを防ぎます。
- 相場確認後、売却を急ぐ分だけ価格をやや低めに設定する
- 売り出し価格に交渉の余地を残し、柔軟に値引き交渉を検討する
- 複数の買い手候補が見込めるよう、価格メッセージにメリハリをつける
リフォーム・クリーニングで魅力を高める
空き家の状態を整えて見栄えを良くすることで印象が大きく良くなり、早期売却につながります。まずは不要物を処分し、徹底的に掃除して室内をきれいにしましょう。
可能であれば、外壁塗装や雨漏り修理などの簡単なリフォームも検討するとよいです。また、家具を配置して生活イメージを演出したり、観葉植物を置くなど手軽な工夫でも効果があります。
- 不要物を処分して整理整頓し、徹底的にクリーニングする
- 外壁や屋根の簡易補修、雨漏り・シロアリ対策を行う
- 家具レイアウトや装飾で生活イメージを演出し、内覧者の印象をアップする
仲介と買取、どっち?空き家売却方法の比較
空き家の売却方法には、主に不動産会社が仲介する「仲介売却」と、業者が直接買い取る「買取」があります。どちらを選ぶかで売却のスピードや得られる金額が大きく変わるため、両者の特徴を理解し比較することが大切です。ここではそれぞれのメリット・デメリットをまとめます。
仲介売却のメリット・デメリット
【仲介売却】仲介は個人向けに物件を市場に流通させる方法です。メリットは市場価格で売却できる点です。多数の購入希望者にアプローチできるため、相場に近い価格で成約する可能性があります。
デメリットは、仲介手数料が発生することと、成約まで時間を要するケースがある点です。不動産会社の広告や内覧活動に時間がかかるとその分売却までの期間が延びることがあります。
- メリット:相場に近い価格で売却しやすい、複数の買い手にアプローチできる
- デメリット:成約まで時間がかかる可能性がある、仲介手数料が発生する
買取売却のメリット・デメリット
【買取】買取とは、不動産会社が物件を直接買い取る取引です。メリットは売却スピードが早く即金化できることです。購入者探しや宣伝が不要なため、短期間で売却手続きを終えられます。
デメリットは、仲介売却よりも売却価格が低くなる傾向がある点です。業者は再販前提で買い取るため、市場価格より割安になるケースが多いです。
- メリット:手間なく即時現金化できる、早期に売却を完了できる
- デメリット:市場価格より安くなりやすい、利用する業者を慎重に選ぶ必要がある
比較項目 | 仲介売却 | 買取 |
---|---|---|
売却スピード | 比較的時間がかかる場合が多い | 手続きが早く即決できる |
売却価格 | 市場相場に近い価格で売れる可能性 | 相場より安くなる傾向 |
費用・手続き | 仲介手数料や広告費が発生 | 手数料不要、手続きが簡易 |
販売活動 | 業者が広告・内覧を代行 | 業者が自社の判断で買い取る |
その他の売却方法:オークションや自己募集
【その他の方法】仲介・買取以外にも、競売(裁判所での売却)や個人間取引などの方法があります。競売は通常の売却よりも手続きが複雑で時間がかかり、売却価格も低くなることが多いため、緊急時以外はおすすめしません。
自力で買い手を探す場合、SNSや掲示板で募集できますが、契約トラブルのリスクも伴います。これらの方法を検討する際は、メリットとデメリットを十分理解しておくことが大切です。
- 裁判所競売:手続きが複雑でコストがかかり、価格も低くなりがち
- 個人間売買:ネット上で募集できるがトラブルに注意
販売活動と宣伝で早期成約を目指す方法
効果的な販売活動は、空き家を早く売るために欠かせません。複数のチャネルを活用して購入希望者にアプローチすることで、成約までの時間を短縮できます。ここでは具体的な宣伝・販促の方法を紹介します。
複数の不動産会社に相談してネットワークを広げる
まず、複数の不動産会社に相談して販売を依頼しましょう。1社専任だけだと情報が限られてしまいますが、仲介会社を複数使うことで売却活動が活発になります。特に専任媒介契約ではなく一般媒介契約にすれば、複数社に同時に依頼でき、成約の可能性が高まります。
複数社から査定を取り、手数料やサービスを比較して信頼できる業者を選びましょう。一括査定サイトを使うと効率よく複数社から見積りを取れます。
- 一般媒介契約にして複数社に販売を依頼する
- 不動産一括査定サイトで複数社から査定を取得する
- 地元密着型と大手の両方から情報を集め、業者を比較する
インターネット広告・ポータルサイトの活用
ネットのポータルサイトを活用すれば、多くの人に物件情報を届けられます。SUUMO、HOME’S、アットホームといった大手サイトに掲載し、空き家の特徴や魅力を詳しく紹介しましょう。写真は明るく鮮明なものを複数方向から撮影し、間取り図も必ず掲載してください。
また、SNS(Twitter、Facebook、Instagram)や動画サイト(YouTube)でも情報発信が可能です。投稿では物件の魅力を端的に伝えるコピーを付け、広い層の目に留まるよう工夫しましょう。
- SUUMO・HOME’Sなど大手ポータルサイトに物件情報を掲載
- 高画質写真や360度画像で物件をアピールする
- SNSや動画で物件の魅力を発信し、幅広い層にアプローチ
地域密着の宣伝手段
地域に特化した宣伝も効果的です。地域情報誌や折り込みチラシで物件概要を宣伝したり、自治体の空き家バンクに登録する方法があります。地元新聞や地域掲示板を活用すると、周辺住民に直接アプローチできます。
また、知人や親戚に声をかけたり、町内会で情報を回覧してもらう方法も有効です。地域のネットワークを活用すれば、地元在住の買い手候補を見つけるチャンスが広がります。
- 地域情報誌や折り込み広告で物件を宣伝する
- 自治体の空き家バンクに物件を登録する
- 地域の掲示板やSNSコミュニティで情報を共有する
- 知人や地域のネットワークを活用して買い手を探す
オープンハウスや内覧会を開催する
オープンハウス(内覧会)は不動産売却の大きなチャンスです。定期的に開催し、多くの人に実物を見てもらいましょう。内覧会当日は室内を明るくし、家具やディスプレイで生活感を演出すると効果的です。
説明用の資料やパンフレットを用意して案内し、専門スタッフが丁寧に物件の魅力を説明しましょう。購入希望者の疑問に答えることで信頼を得られ、成約につながる可能性が高まります。
- 定期的にオープンハウスを開催し、多くの人に内覧してもらう
- 部屋を明るく整え、家具や小物で生活イメージを演出する
- 専門スタッフが丁寧に説明し、購入希望者の疑問に答える
空き家売却にかかる税金と諸費用で注意すべき点
空き家売却では税金や諸費用も見逃せません。売却で得た利益には所得税と住民税がかかり、仲介手数料や登記費用などのコストも発生します。ここでは空き家を売却する際の税金・手数料について解説します。
譲渡所得と税金の基本
売却によって得た利益(譲渡所得)には所得税と住民税が課されます。譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算し、所有期間が5年以下の短期譲渡と5年超の長期譲渡で税率が異なります。
売却益が発生した場合は確定申告が必要です。譲渡所得がゼロ円以下の場合は税金がかかりませんので、事前に譲渡所得の概算を出しておくと安心です。
各種控除・特例制度の活用
空き家売却には税制優遇制度があります。相続した空き家を売却するとき、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります(適用期間は2027年12月まで延長)。2024年の改正により、売却後に買い主が耐震改修や取り壊しを行っても特例が適用可能になり、買取売却でも利用しやすくなりました。
また、売却にかかる仲介手数料やリフォーム費用、解体費用、登記費用・印紙税などの譲渡費用は譲渡所得から差し引けます。これらの制度を活用し、税負担を軽減しましょう。
- 被相続人から取得した家屋の売却で3,000万円特別控除を利用できる
- 買い主が耐震改修・取り壊しを行っても特例適用可能になった(2024年改正)
- 譲渡費用(仲介手数料、登記費用、リフォーム費用など)は譲渡所得から控除できる
仲介手数料や登記費用などの諸費用
売却時には仲介手数料が発生します。不動産会社による通常の仲介手数料上限は「売却価格の3%+6万円(別途消費税)」です。また、登記費用として住所変更や抵当権抹消の登録免許税、司法書士報酬、印紙税などの諸費用も必要です。
これら諸費用は売却価格から差し引かれないため、売却前に支払い予定額を確認し準備しましょう。解体が必要な場合は解体費用も見積もりに含め、予期せぬ出費に備えることが大切です。
- 仲介手数料:売却価格の3%+6万円(上限額)
- 登記費用:住所変更や抵当権抹消の登録免許税・司法書士報酬
- 印紙税:売買契約書に貼付する印紙代
- 解体費用:必要に応じて建物解体や残置物撤去費用
まとめ
空き家を早く売却するには、売却理由やタイミングを整理し、総合的な戦略を立てることが重要です。価格設定ではプロ査定や相場調査を活用し、少し割安に設定して交渉の余地を残します。物件はクリーニングや簡易リフォームで印象を良くし、好条件での内覧ができるよう準備しましょう。
販売活動では複数社への相談、ネット広告、オープンハウスなど多様な手法を駆使して購入希望者を増やし、成約の可能性を高めます。また、3,000万円特別控除などの税制優遇や諸費用にも注意しておくことが大切です。
可能な限り早めに行動し、専門家のアドバイスを受けながら準備を進めれば、空き家売却はスムーズに成功に近づきます。記事で紹介したポイントを参考にして、一日でも早く空き家の悩みを解消しましょう。