戸建て売却が難しいと言われる背景には、築年数や資産価値の低下、住宅ローン審査の厳格化、さらには空き家増加など社会変化による需要減少などさまざまな要因があります。
この記事では2025年の最新動向も交え、戸建て売却が難しい理由と成功ポイントをわかりやすく解説します。
戸建て売却に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
戸建て売却の難しさには、築年数や法令改正などの要素だけでなく、現在の住宅市場全体の環境も大きく影響しています。
この記事では初めて戸建て売却する方でもわかるように、失敗しないための準備やポイントを具体的に紹介します。
目次
戸建て売却が難しい理由とは
戸建ての売却では、マンション(集合住宅)と比べて需要が少ないため、買い手が見つかりにくく売却が難しいと言われています。
さらに、戸建ては築年数の影響が大きく、建物の資産価値が早く下がる点も売却を難しくする要因です。
加えて、住宅ローン審査が厳しくなる点や人口減少・高齢化による購入層の縮小など、複数の要素が重なることで戸建て売却は厳しい状況になりがちです。
戸建て特有の資産価値の低下
戸建て(個人住宅)では、建物の築年数経過による価値減少が大きなネックとなります。
日本では一般的に木造戸建ての法定耐用年数は22年とされ、それ以上の築年数になると建物部分の評価額がほぼゼロとみなされることが多いのです。
そのため、築年数の経った古い家は買い手にとって購入メリットが低く、選択肢の多い市場では特に売却が難しくなってしまいます。
マンションと比べた需要の差
中古マンションには一定の需要が見込める一方、
戸建ての購買層は相対的に少ないのが実情です。
首都圏の最新データでも、2023年の中古マンション成約件数は約36,000件だったのに対し、戸建ては約13,000件にとどまり、マンションのおよそ3分の1程度にとどまっています。
以下の表は最近数年の流通件数をまとめたものですが、戸建ての件数がマンションに比べ常に少ないことがわかります。
| 年 | マンション成約件数 | 戸建て成約件数 |
|---|---|---|
| 2020 | 約35,800件 | 約13,300件 |
| 2021 | 約39,800件 | 約15,400件 |
| 2022 | 約35,400件 | 約13,400件 |
| 2023 | 約36,000件 | 約12,900件 |
このように戸建ては需要が低い分、複数の買い手から選ばれにくくなっています。売却時には、こうした市場性の違いを理解した上で戦略を立てることが大切です。
住宅ローン審査の厳しさ
戸建て売却では、住宅ローン審査を通過しにくい点もハードルになります。
金融機関は物件を担保価値で判断しますが、中古戸建ては年数経過で評価額が下がるため、査定額が低めになります。
評価額が低いと借入可能額も減り、結果的に購入希望者が住宅ローンを組みにくくなってしまうのです。
人口減少や高齢化による市場環境の変化
日本では少子高齢化が進み、住宅需要が高い30〜40代の世帯数が減少しています。
一方で相続などで戸建て住宅の売却が増えれば、供給が需要を上回る可能性も高まります。
こうした人口動態の変化は戸建て売却に大きな影響を与える要因となっており、今後ますます売却を難しくする要素となりえます。
売れない戸建てに共通する特徴
売れない戸建てにはいくつか共通する特徴があります。築年数が極端に古い、耐震基準を満たさない、最寄り駅から遠い、管理が行き届いておらず傷みが目立つなどが挙げられます。
また、相場から外れた高値設定や極端な間取り・建築条件(再建築不可物件など)も買い手を限定してしまう要因です。次項で詳しく見ていきましょう。
築年数が古く、耐用年数に近い物件
現行の耐用年数を超えている家屋は、買い手にとって非常にリスクが高く感じられます。
たとえば、築30年以上の木造住宅では、外装や水回りの老朽化が顕著となり、購入後の大規模修繕が必要になることも。
こうした古い戸建ては、将来の維持費や改修費用を懸念する買い手から敬遠されがちです。
耐震性に不安がある物件
築1981年6月以降に導入された新耐震基準に対応する建物は耐震性が高いのに対し、それ以前の旧基準で建てられた戸建ては地震に弱い傾向があります。
旧耐震基準の物件には大規模な補強工事が必要になることもあり、購入者にとって大きな懸念材料です。
耐震性の低い住宅は将来的なリスクが高いため、買い手から避けられ、売却が難しくなるケースがあります。
立地条件が悪い
駅から遠い物件は通勤・通学の利便性が悪く、買い手に敬遠されます。
また、近隣にスーパー・医療機関・学校など日常生活に必要な施設が少ない場合は、生活しづらさからさらに需要が下がります。
立地条件が悪い場合、どんなに物件自体が魅力的でもマッチする買い手層が限られるため、売却が難しくなる要因となります。
物件の管理が行き届いていない
外観が汚れ、庭木が伸び放題といった管理不足の戸建ては印象が悪く、買い手の関心を削ぎます。
経年劣化による破損個所が放置されていれば、修繕の手間を懸念して購入をためらう原因になります。
管理の行き届かない物件は安全面や衛生面での不安も与えるため、売却が遅れやすい要因となります。
売り出し価格が相場より高い
売り出し価格が相場より高いと、買い手に割高感を与えて内覧の申し込み自体が減ります。
近隣の成約事例と整合しない価格では比較対象にならず、価格交渉でも不利になります。
価格を適正水準に設定しないと、売却期間が長引いて結果的に値下げせざるを得ない事態になりやすいのです。
特殊な間取りや再建築不可
個性的な間取りや用途限定の物件は、買い手の需要が限定的になります。
たとえば間口が狭い変形地や店舗併用住宅などは対応できる住まい手が少なく、検討対象が限定されます。
さらに、再建築不可の物件は将来的な建替えも難しいため、リスクが高いとして買い手に敬遠されやすくなります。
戸建て売却成功の秘訣
売却を成功させるには事前の準備と戦略的なアプローチが欠かせません。
価格設定、内覧時の印象向上、プロへの相談などの対策を組み合わせることで、売却の難しさをクリアできます。
以下に具体的な成功のポイントを詳しく紹介します。
適切な価格設定と査定
まず最も重要なのは現実的かつ適正な売り出し価格の設定です。
近隣の成約事例や類似物件の情報を参考に、複数社から査定を受けて相場感を把握しましょう。
相場とかけ離れた高値設定は内覧数を減らしてしまうため、多角的な査定情報をもとに価格調整することが成功のカギとなります。
物件価値を高めるリフォーム・メンテナンス
内装や設備をリフォームして物件の魅力を高めると、売却時のアドバンテージにつながります。
たとえば、キッチンや浴室を最新設備に更新したり、外壁・屋根の補修・塗装を行ったりすれば、第一印象が大きく改善します。
広くはない工事でも購買意欲を高める効果があり、必要なら専門業者に相談して短期間でできる範囲の改修を検討しましょう。
効果的な広告・販促戦略
集客力を高めるには、効果的な広告・販促戦略も重要です。
インターネットの不動産情報サイトに加え、魅力的な写真や間取り図を掲載しましょう。特に戸建ての強みである広い庭や眺望などは強調ポイントです。
また、オープンハウス開催やSNSでの情報発信、地域でのチラシ配布など複数の方法で認知を広げ、潜在的な買い手にアプローチしましょう。
売り時・季節を見極める
戸建て売却のタイミングも成果に影響します。
一般に住宅購入は春~秋の暖かい時期に活発になるため、春先から初夏、または秋の転勤・入学シーズン前に売り出すと反響が増えやすいです。
さらに、住宅ローン金利や税制優遇の動向も考慮しましょう。低金利時期や税制優遇のある期間には買い手意欲が高まりやすい傾向があります。
戸建て売却の流れと必要な手続き
戸建て売却の一般的な流れは以下の通りです。必要な手続きとステップを把握しておきましょう。
- 査定依頼:複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の目安を確認します。
- 媒介契約:査定結果を比較・検討し、不動産会社と媒介契約を締結します。
- 販売活動:物件情報を登録して広告を開始し、購入希望者の内覧対応を行います。
- 商談・契約:希望者から購入申込みがあれば条件交渉をして売買契約を締結します。
- 決済・引渡し:決済日に代金の受領、抵当権抹消・所有権移転登記を行い、物件を引き渡します。
上記のステップを一つ一つ確実に進めることで、戸建て売却をスムーズに完了できます。
査定・査定依頼から媒介契約まで
まず不動産会社に査定を依頼します。土地と建物の価値を基に価格判定してもらい、複数社から見積もりを取って相場を確認しましょう。
査定結果を比較し、納得できる価格を示した会社と媒介契約を締結します。媒介契約には専任媒介・一般媒介などの種類がありますので、契約形態についても確認しておくことが重要です。
物件情報の広告と購入希望者の対応
媒介契約後は、物件情報を不動産ポータルサイトへ登録し宣伝を開始します。
内覧希望者が現れたら日程調整して現地案内を行い、質問には丁寧に答えます。
買い手の印象をよくするため、内覧前には掃除や整理整頓を徹底しましょう。
売買契約と決済・引渡し
買い手が決まったら、売買契約書を取り交わします。手付金や引渡し時期、備品の処理など契約条件を確認しましょう。
契約締結後は引渡しに向けた準備を進めます。抵当権抹消手続きや荷物の整理、残代金の手配などを行います。
決済日当日には銀行で残代金の受領と登記手続きを完了し、鍵や書類を買主に引き渡して取引終了となります。
戸建て売却にかかる費用と税金
戸建て売却時には、仲介手数料や登記費用などの諸費用が必要です。
仲介手数料の上限は売買価格の3%+6万円(税別)です。その他、所有権移転登記や抵当権抹消登記の登録免許税や、契約書に貼る印紙税なども発生します。
これらの諸費用を含めて手取り額を計算し、売却価格を決めることが大切です。
また、売却益に対しては譲渡所得税が課税されますが、要件を満たせば特別控除が適用できます。以下で各費用と税金について詳しく見ていきます。
必要となる諸費用(仲介手数料、登記費用など)
戸建て売却時には、以下のような諸費用がかかります。
- 不動産仲介手数料: 売買価格に応じて上限3%+6万円(税別)
- 登記関連費用: 所有権移転登記・抵当権抹消登記の登録免許税
- 印紙税: 売買契約書に貼付する収入印紙代
- その他: クリーニング費用やリフォーム費用、測量費用など売却準備にかかる費用
そのほか、買主との条件調整で発生するハウスクリーニング代や残代金決済時の司法書士費用なども生じる場合がありますので、事前に見積りを取っておくと安心です。
譲渡所得税と税金対策
譲渡所得税は売却益(売却価格から取得費・譲渡費用を差し引いた額)に課税されます。
計算方法は課税譲渡所得額×税率で、所有期間が5年超などにより税率が変わります。
なお居住用財産の売却では要件を満たせば3,000万円特別控除など税制優遇もあるため、これらを上手に活用して税負担を減らしましょう。
持ち家から買い替え時の特例
居住用に使っていた自宅を売却して買い替える場合、税制上の特例が受けられることがあります。
たとえば、新居を購入するときの買い替え特例を利用すれば、譲渡益の課税を先送りできたり、3,000万円特別控除を追加で受けられたりします。
要件を満たすと大きな節税になるため、税務署や専門家のアドバイスをもとに特例適用も検討しましょう。
不動産会社選びと査定のポイント
適切な不動産会社を選ぶことも、売却を成功させる大事なポイントです。
家を多く取り扱う大手や、戸建てに強い地域密着型の会社などから選びましょう。
査定額だけでなく担当者の対応や販売戦略、実績も確認します。以下に具体的な選び方のポイントを示します。
複数社査定で相場を把握
本当に売れる価格を知るために、複数の会社で査定を受けましょう。
各社の査定額が出す根拠を比較し、適正な相場を見極めます。
査定額に差がある場合は理由(近隣事例の有無や物件状況の評価など)を確認し、高すぎる価格には注意しましょう。
実績ある不動産会社の見極め方
実績ある会社の選定では、集客力や販売力を重視しましょう。
多くの物件を扱う大手や、地域に精通した不動産会社は情報量が多く、売却実績も安定しています。
担当者から過去の売却事例や販売戦略を聞き、会社の信頼度を判断するとよいでしょう。
査定価格の根拠と交渉
査定価格を鵜呑みにせず、その根拠を確認しましょう。
近隣の実際の成約事例と照らし合わせて、提示価格が妥当か判断します。
納得できない場合は担当者と価格交渉し、最適な売り出し価格を設定しましょう。
まとめ
戸建ての売却が難しいのは築年数や立地、住宅ローン基準の問題など複数の要因が重なるためです。
しかし、価格設定や物件の維持修繕、効果的な広告などの対策を講じれば、売却成功の可能性を高められます。
売却の流れや費用・税金をしっかり把握し、信頼できるパートナーと共に進めることで、戸建て売却は着実に実現できます。